現在の養殖状況と、今後の課題

ハマチ養殖事業は、21世紀に入ってその業態を大きく変えた。

筏の係留技術の向上による養殖場所の外海への移動と、餌のペレット化である。

潮の流れが速く、常に海水が循環する外海に筏を係留することによって、赤潮の被害を受けることがなくなり、残った餌が海底に溜まるといったことも過去の話となった。寄生虫も付きにくくなったため、抗生物質の使用量も激減。近年では、出荷時の魚体内に抗生物質は残留していない。

また、潮の流れが速いということは、ハマチの運動量が増えることにつながるため、格段に身の締まったハマチを提供できることになった。味も良くなり、天然物と遜色ない。

餌のペレット化による恩恵も見逃せない。以前は魚価に左右されていた餌が、常に価格が一定になり、更に魚の成長過程に応じた必要な栄養素を計算して含んでいるのである。これは養殖業者の収益率の向上につながった。このため、従来は2年で出荷していた「ハマチ」を、もう1年肥育し、「ブリ」として出荷しようという、野心的な試みを行う業者も出現している。

こういった養殖業者の努力が実を結び、近年では天然物よりも養殖物の浜値が良いという、逆転現象が起きるほどである。

しかし、養殖ハマチに対し、上記のようなイメージを未だに抱いている消費者が多いこともまた事実である。今後、これらの悪印象を払拭し、「安全で美味な養殖ハマチ」というイメージを浸透していくことが、今後の課題である。